[PR]
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
the full bloom of Cherry Blossoms.
浮竹夢の(小連載の)ヒロインなのに、浮竹が欠片も出てこない上、
喜助夢っぽいので、完成していたのに長いこと放置していたものです。
原作沿い・・・・っぽい。
「こりゃ、一雨きそうッスね・・・・テッサイ、今日はもう閉めちゃいましょ。」
「また気分で決めて・・・・・」
「なぁに、雨が降ったらお客さんも来ないでしょう。」
厚い灰色の雲が低く垂れ込めている、一雨来そうな午後。
またいつもの気分で店主が店を閉めようとした時だった。
店先を掃いていた巨漢は手を止め、
道の向こうの一点をじっと見つめている。
「む・・・何ですかな?あれは。」
「どうかしたんスか?」
奥に引っ込みかけた店長――浦原喜助が、異変に気付いて外に出てきた時、
その帽子にポツリと最初の雨粒が落ちた。
その一粒を皮切りに、ザァッと強い雨が降り始める。
しかしそれをも構わずに、喜助は身を固くしていた。
・・・・・・巨大な、霊圧だった。
何かを探すように暫くふらふらしていたその霊圧の主は、
やっと求めるものを見つけたのか、
ゆっくりとした歩調で店に近づいて来ている。
やがて道の向こうにその姿が現れた。
この国では珍しくもない黒髪・黒瞳の組み合わせ。
白い肌によく映える黒い着物に同色の袴を穿き、謹厳に着付けた死覇装。
そして腰に佩いた刀・・・・・・死神だ。
だが喜助はただ、いつもの薄い笑みを浮かべて、
帽子の下の目を細めてこの珍客を待っていた。
「お久し振りです、浦原さん。
もう隊長とか局長とかお呼びしない方が宜しいでしょう?」
「そうっスね。お久し振りです・・・・・繍子サン。また強くなりましたね。」
そう、この日浦原商店を訪れたのは。
かつては十二番隊及び技術開発局で彼の右腕として働き、
今は十三番隊で四席を務める、紫雲寺繍子、その人であった。
「今は十三番隊に奉職してます。皆さん相変わらずですよ。
ちょっと人事で色々ありましたけど。」
店内へと場所を移し、近況を尋ねた喜助への返答だ。
「そうっスか~・・・・いや、皆さん元気ならそれが一番良いですよ。」
明るく応じた喜助に繍子も明るく頷いたが、次の瞬間にはもう真剣な顔に変わっていた。
「そうですね。・・・・・・浦原さん・・・・・彼女が、最近ウチに入隊してきました。」
「・・・・・・・・今の状況は?」
「今のところ、目だった変化はなし・・・・・・ただ、気になる動きは少々あります。
市丸隊長とか・・・・・・ね。」
「あぁ、彼も隊長になったんスね。」
「ええ。彼、見た目通りの不真面目な人なので、
藍染隊長とは一見反発してるような感じですね。
でもまあ、見えるものがすべてじゃないですから。」
「前にも言いましたけど・・・・・・・」
「藍染隊長にも十分気をつけるように、ですね。
とりあえず今は出来るだけ彼女にかまうようにして、
近くで様子を見てます。朽木隊長の計らいがこちらにも幸運でしたね。
まさか私の居るとこに振られるなんて。」
繍子がふっと表情を緩める。
それだけで、張り詰めていた場の空気も幾分か和らいだ。
「苦労かけますねぇ・・・・」
「いいえ、アレの研究には私も随分携わりましたし。
生み出したものに最後まで責任を持つのは、技術者の義務です。
・・・・・・・今のところ何もできないのは・・・・・辛いことですが。」
笑顔を軽く曇らせた繍子のその表情に、浦原も思案げに眉を寄せる。
それに気づいて、取り繕うように繍子はまた微笑んだ。
「ま、浦原さんの元気そうな顔見たらちょっと安心しました。
そろそろ戻りますね。あまり遅くなったら心配されちゃう。」
「そうですね・・・・・」
無理に明るい笑顔を作って、繍子が別れを言う。
と、浦原は何か思いついたように、ずらりと並ぶ駄菓子のケースから、
飴を一つ取り出して繍子の手に握らせた。
「あぁ、そうだ。コレどうぞ・・・・ウチの名物で、宇宙玉っていう飴なんですよ。」
「宇宙玉・・・・・何か、味の予想もつかないんですけど。」
怪しい名称の飴に顔をしかめた繍子に、悪戯っぽく笑いながら浦原は説明を加える。
「なぁに、中身は普通のコーラ味なんですけどね。
今のアタシが繍子サンにしてあげられることなんて、これぐらいですから。」
「あら、気を遣わせてしまいましたか。大丈夫ですよ。
目の前のできそうなことを、毎日やっていくだけです。」
それでも喜助の親切を無碍に断ることはせず、
如何にもコーラっぽい茶色の飴を笑顔で受け取る。
また動きがあったら報告に来ると告げ、扉を開いて尸魂界へ戻っていった。
雨はいつの間にか上がっていて、
重く垂れ込めていた雲を爽やかな風がぐんぐん拭っていく。
そんな午後だった。
さほど間をおかずに、繍子はまた浦原商店を訪ねた。
海燕にまつわる一連の事件の顛末を、報告する為に。
だが報告しながらも涙を抑えきれず、
喜助の胸を借りて思い切り泣いて帰っていった。
事件が起こるのは、それよりずっと後の事。
オレンジ色の髪をした少年は、まだ生まれてさえいなかった。
-終-
アトガキ
あれ、なんだろこの原作沿いみたいな話・・・・
(予定はもっとほのぼのでした。)
崩玉がルキアに埋め込まれたのはいつですかって思うのです。
浦原追放はまあ、恐らく夜一さん失踪と同じくらいだと思うので100年前。
ルキアの年は、一巻の台詞から考えると、だいたい150ぐらいということに。
なら流魂街時代に埋め込まれた説か、義骸に仕込まれてた説か・・・・
この話は流魂街時代に埋め込まれた説を採って作ってます。
COMMENT
COMMENT FORM
TRACKBACK
04 | 2025/05 | 06 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | ||||
4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |