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2025/05/06

原作沿い?

浮竹夢の(小連載の)ヒロインなのに、浮竹が欠片も出てこない上、
喜助夢っぽいので、完成していたのに長いこと放置していたものです。
原作沿い・・・・っぽい。


「こりゃ、一雨きそうッスね・・・・テッサイ、今日はもう閉めちゃいましょ。」

「また気分で決めて・・・・・」

「なぁに、雨が降ったらお客さんも来ないでしょう。」



厚い灰色の雲が低く垂れ込めている、一雨来そうな午後。

またいつもの気分で店主が店を閉めようとした時だった。



店先を掃いていた巨漢は手を止め、
道の向こうの一点をじっと見つめている。



「む・・・何ですかな?あれは。」

「どうかしたんスか?」



奥に引っ込みかけた店長――浦原喜助が、異変に気付いて外に出てきた時、

その帽子にポツリと最初の雨粒が落ちた。


その一粒を皮切りに、ザァッと強い雨が降り始める。

しかしそれをも構わずに、喜助は身を固くしていた。



・・・・・・巨大な、霊圧だった。



何かを探すように暫くふらふらしていたその霊圧の主は、

やっと求めるものを見つけたのか、
ゆっくりとした歩調で店に近づいて来ている。


やがて道の向こうにその姿が現れた。


この国では珍しくもない黒髪・黒瞳の組み合わせ。

白い肌によく映える黒い着物に同色の袴を穿き、謹厳に着付けた死覇装。

そして腰に佩いた刀・・・・・・死神だ。


だが喜助はただ、いつもの薄い笑みを浮かべて、
帽子の下の目を細めてこの珍客を待っていた。





「お久し振りです、浦原さん。
 もう隊長とか局長とかお呼びしない方が宜しいでしょう?」

「そうっスね。お久し振りです・・・・・繍子サン。また強くなりましたね。」



そう、この日浦原商店を訪れたのは。
かつては十二番隊及び技術開発局で彼の右腕として働き、
今は十三番隊で四席を務める、紫雲寺繍子、その人であった。






「今は十三番隊に奉職してます。皆さん相変わらずですよ。
 ちょっと人事で色々ありましたけど。」


店内へと場所を移し、近況を尋ねた喜助への返答だ。


「そうっスか~・・・・いや、皆さん元気ならそれが一番良いですよ。」



明るく応じた喜助に繍子も明るく頷いたが、次の瞬間にはもう真剣な顔に変わっていた。


「そうですね。・・・・・・浦原さん・・・・・彼女が、最近ウチに入隊してきました。」

「・・・・・・・・今の状況は?」

「今のところ、目だった変化はなし・・・・・・ただ、気になる動きは少々あります。
 市丸隊長とか・・・・・・ね。」

「あぁ、彼も隊長になったんスね。」

「ええ。彼、見た目通りの不真面目な人なので、
 藍染隊長とは一見反発してるような感じですね。
 でもまあ、見えるものがすべてじゃないですから。」

「前にも言いましたけど・・・・・・・」

「藍染隊長にも十分気をつけるように、ですね。
 とりあえず今は出来るだけ彼女にかまうようにして、
 近くで様子を見てます。朽木隊長の計らいがこちらにも幸運でしたね。
 まさか私の居るとこに振られるなんて。」


繍子がふっと表情を緩める。

それだけで、張り詰めていた場の空気も幾分か和らいだ。


「苦労かけますねぇ・・・・」

「いいえ、アレの研究には私も随分携わりましたし。
 生み出したものに最後まで責任を持つのは、技術者の義務です。
 ・・・・・・・今のところ何もできないのは・・・・・辛いことですが。」



笑顔を軽く曇らせた繍子のその表情に、浦原も思案げに眉を寄せる。
それに気づいて、取り繕うように繍子はまた微笑んだ。



「ま、浦原さんの元気そうな顔見たらちょっと安心しました。
 そろそろ戻りますね。あまり遅くなったら心配されちゃう。」

「そうですね・・・・・」


無理に明るい笑顔を作って、繍子が別れを言う。
と、浦原は何か思いついたように、ずらりと並ぶ駄菓子のケースから、
飴を一つ取り出して繍子の手に握らせた。


「あぁ、そうだ。コレどうぞ・・・・ウチの名物で、宇宙玉っていう飴なんですよ。」

「宇宙玉・・・・・何か、味の予想もつかないんですけど。」


怪しい名称の飴に顔をしかめた繍子に、悪戯っぽく笑いながら浦原は説明を加える。


「なぁに、中身は普通のコーラ味なんですけどね。
 今のアタシが繍子サンにしてあげられることなんて、これぐらいですから。」

「あら、気を遣わせてしまいましたか。大丈夫ですよ。
 目の前のできそうなことを、毎日やっていくだけです。」


それでも喜助の親切を無碍に断ることはせず、

如何にもコーラっぽい茶色の飴を笑顔で受け取る。

また動きがあったら報告に来ると告げ、扉を開いて尸魂界へ戻っていった。



雨はいつの間にか上がっていて、
重く垂れ込めていた雲を爽やかな風がぐんぐん拭っていく。

そんな午後だった。







さほど間をおかずに、繍子はまた浦原商店を訪ねた。

海燕にまつわる一連の事件の顛末を、報告する為に。

だが報告しながらも涙を抑えきれず、
喜助の胸を借りて思い切り泣いて帰っていった。


事件が起こるのは、それよりずっと後の事。




オレンジ色の髪をした少年は、まだ生まれてさえいなかった。








-終-







アトガキ
あれ、なんだろこの原作沿いみたいな話・・・・
(予定はもっとほのぼのでした。)
崩玉がルキアに埋め込まれたのはいつですかって思うのです。
浦原追放はまあ、恐らく夜一さん失踪と同じくらいだと思うので100年前。
ルキアの年は、一巻の台詞から考えると、だいたい150ぐらいということに。
なら流魂街時代に埋め込まれた説か、義骸に仕込まれてた説か・・・・
この話は流魂街時代に埋め込まれた説を採って作ってます。

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2007/03/11 Short Story Trackback() Comment(0)

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