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2025/05/06

頑張ったんだけど。

7日にアップした連載「桜坂」の14話、紫眼の血2の元ネタを追記にアップ。
頑張って書き上げたはいいけど、京楽に取って代わられた奴です。
浮竹妹捏造中。





聖祭当日。

貴族達でごった返す王宮の正門付近で、繍子らしき人を見つけて立ち止まった。





遠目にも高貴な人だと分かる装い。

品の良い微笑みを浮かべ、手にした扇でさりげなく口元を隠しながら、周りに集まった貴族達と談笑している。





その、姿が。

俺の知る繍子とは掛け離れていて。





何よりふと見えたその瞳の色が。


緑のはずの瞳が、深紫だったから。








本当に繍子かどうかは自信がなかった。







「兄様、見惚れる気持ちは分かるけど、失礼だよ。あの方、龍の宮様の妹君。」

「知ってるのか?」

「海龍歳王・祥子さまの妹君の、紫雲寺繍子さま。すごく綺麗な方だよね。」



妹の言う名は確かに繍子のそれだが、彼女が王妹なら、無躾に見つめることは下手をすると不敬罪になる。

忠告通り、目を逸らそうとした瞬間。

談笑の輪を離れた繍子と目が合った。




そして。



あろうことか、人波を分けてこっちへ歩き出した。

急いで視線を外して、慌てふためく妹とその到着を待つ。



「どうしよう、お咎めを受けるのかな?」

「とにかく、待つしかないな……」



不安そうな妹を後ろに庇う位置に移動し、待っていると、やがて清らかな鈴の音がして、繍子が現れた。




結い上げた髪に下がる飾り紐。

珊瑚色の布を結び目に巻いて垂らし、その上から複雑な形に結んだ

銀の紐の両端には鈴がつけられて、一歩歩く度に澄んだ音を響かせる。

薄色の、地模様の振袖の下に瞳に合わせた紫系の着物を幾重にも重ねた、王族の盛装。




それは全く、普段の繍子からは想像つかない姿で。

知った人の筈なのに、柄にもなく緊張していた。






しかし。



薄く紅をさした唇が、最初の一言を紡いだ瞬間、全ては音を立てて崩れ落ちた。






「おはよう、浮竹君。昨日曇って心配だったけど、綺麗に晴れて良かったね。」





中身も、向けられた笑顔もいつもの繍子そのままだった。

内心ホッとして、普段通りに挨拶を返す。



「おはよう、繍子。そうだな。良い天気だ。にしても驚いたな……まさか繍子が王族だったとは…」

「京楽君は薄々気付いてたみたいだったけどね、驚かせてやろうと思って。」

「さっき目が合った時なんか、不敬罪になるんじゃないかって妹とヒヤヒヤしてたぞ。」

「あら、驚かせすぎたかな?気にしないで。高貴なのはあくまで姉上であって、私じゃないんだから。」



そう言って、まだ俺の後ろでびくびくしている妹に気さくに笑いかけた。



「それに、その目の色も。普段は緑だろう?」

「あぁ、これもね……」



すっと広げた扇で目を覆う。

一呼吸して扇を下ろすと、いつもの深緑の瞳が現れた。



「こんな風に、変えられるの。」

「どっちも本当の色なのか?」

「ううん、本当は緑。紫は無理矢理変えてる色なの。」




そうして暫く他愛のない話に興じていると、結構な時間が過ぎていた。

王族というのは、こういう行事の時は忙しいものじゃないんだろうか?



「そういえば、いいのか?ここに居て。歳王君に挨拶に行ったりとかは……?」

「大丈夫だと思う。姉上遅起きだから、まだ支度中よ、きっと。大概支度が出来たら使者が迎えに来るから。」

「へぇ……歳王君にも意外な一面があるんだな。」

「そうだね。……あれ、獅子宮様の使者だ。私かな?」



遠い一点を見ていると、こちらに大股で近付いてくる人物がいる。

思った通り、繍子の前で立ち止まり、跪いて頭を垂れ、伝言を伝えた。

繍子は笑顔でそれに応じ、先に使者を帰す。




「獅子宮様に呼ばれちゃった。じゃあちょっと挨拶に行ってくるね。」

「ああ。……良い聖日を。」

「良い聖日を。明日は振替だから、また明後日ね。」



聖祭の日によく使われる有り触れた挨拶を口にして、再び瞳を紫に戻した繍子は王宮の奥へ歩いて行った。










−続−









こんな感じ。
妹、捏造しても大して出てきてないですね。

本当はもっと細かく衣装について書いてたんですが、果たしてどれだけの人に伝わるのか?しかも何かウザくないか?と思ってやめました。
大腰って言って「ああ、あれね」と思う方どれだけいらっしゃるでしょうか・・・・
(女房装束の一部です。)
しかも、緑版と紫版を用意してどっちを使うかで迷ってました。
で、結局紫にしたのでタイトル「紫眼の血」なわけです。


このヒロインは本当に何もないただの弁当屋の女将だったのに、
いつの間にかこんな設定がついてしまってました。
治癒霊力持ちは決まってたんですが、どこで間違ったんだろう?

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2005/12/07 Short Story Trackback() Comment(0)

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